本論文は,日本のソーシャルメディアにおいて,一つの談話標識の意味変化が進行する様を探究する。ツイッター(2023年7月にXと改名)上の文末の「ってゆう」の140例を分析し,この談話標識が精緻化というテキスト的機能から陽気なあざけりというスタンスを表す標識へと移り変わりつつあることを示す。この変遷は特定の文脈で繰り返し用いられることによるもので,一つのアイディアを敷衍する際に書き手の意図の推論へと誘い,それが純粋な情報伝達を超えて対人的・社会的な関与のある事柄へと拡張すると論じられる。これらの例にみられる機能的曖昧さは,「ってゆう」の進化が中間段階にあることを暗示するものである。本研究の結果により,意味創造の文脈依存性はもちろんのこと,意味変化における語用論的推論の中心性が強調される。
Source abstract: Final tteyuu as a mockery stance marker: Multifunctionality and ongoing semantic change in Japanese social media
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